第62章 温かい手
数時間後、エマが目を覚ますと、
エマはまだ
エルヴィンの胸に抱かれていた。
エルヴィンのゆっくりとした
鼓動の音に、耳を傾ける。
自分の心が、
以前より少し落ち着いている気がした。
エマは小さく深呼吸をする。
すると、
「エマ。目が覚めたのか?」
そう言ってエルヴィンは
エマの顔を覗き込む。
「はい。今起きました。
エルヴィンさん、眠れましたか?」
「……そうだな。」
エルヴィンは曖昧に答えると、
エマの髪を撫でる。
「もしかして私、寝てる時、
エルヴィンさんに何かしましたか?」
エマは嫌な予感がして、
エルヴィンに問いかけた。
「なんだ。もしかしてわざとなのか?」
エルヴィンが少し笑ってそう言うと、
「いや、わざとじゃないです!
と言うか、私何したんですか?」
エマは焦ってエルヴィンを問い詰める。
「まぁ、落ち着きなさい。」
エルヴィンはそう言うと、
またエマの髪を撫で、
「私の口からは言えない。」
そう耳元で呟くように言った。
「!え、何ですか!
いや…、とにかくすみません……」
エマは再びエルヴィンの胸に顔を埋めた。