第61章 手放した理由
「それと。
お前がいくらエマにきつく当たろうと、
エマはお前を想い続けるだろう。」
「……何の話だ。」
「何度お前のものを咥えさせられても、
エマはお前を諦めないって話だ。」
リヴァイの怪訝そうな目にエルヴィンは
「エマを見れば大体わかる。
口内は荒れ、口の端も切れて、
ベッドも微かに男のあの臭いがする。」
そう言って、リヴァイを揶揄する。
「そんなことを繰り返したところで、
エマはお前を諦めないし、
お前も諦めがつかないだろうな。」
エルヴィンはそう言うと、
エマの部屋のドアノブを握り、
「エマは気が済むまで寝させる。
今日は一人で抜け。」
と、怒りを抑えた口調で言い放ち、
部屋へ入っていった。