第60章 疲れた身体
次の日も、その次の日も、
エマは夜、リヴァイを部屋に招き、
口淫を繰り返す。
口淫が終わるたび
エマはリヴァイに気持ちを伝え、
リヴァイはそれを聞き終える前に
部屋を後にする。
リヴァイが訓練や会議で
夜遅くに仕事を終えた日も
エマはリヴァイを待ち、部屋に招いた。
そんな日が2週間ほど続いたある日。
「エマさん。
俺に何も言ってこねぇけど大丈夫なのか?」
夕方、ジャンは菜園で
野菜の手入れをするエマに声をかけた。
「ジャン。
なんか久しぶりな気がするね。」
「そうだな。
最近訓練やら調査資料の整理やらで
バタバタしてたからな。」
ジャンはそう言うと、エマの隣に屈み込む。
「なぁ。今どうなってんの?」
ジャンの問いかけを受け、
エマはここ最近の出来事を話した。
「は?何それ。どういう状況だよ。」
ジャンは思わず声を上げる。
「リヴァイさんが私の話を聞いてくれる方法は
これしかないから、今はそれに徹してる。」
エマは驚くジャンを後目に、淡々と言った。
「……いや。身体張りすぎだろ。」
ジャンはエマの顎を引き寄せると、
赤くなり、口内炎のできた
エマの口内を見る。
「ほら。口ん中、めっちゃ痛そうだけど。」
エマは急いで口を閉じると、
「見た目ほど痛くないから大丈夫。」
そう言って俯いた。
「エマさん、本職は料理人だろ。
そんな口の中荒らして、
仕事に支障出ねぇのかよ。」
「……大丈夫。事細かにレシピ作ってるから。」
エマは俯いたまま答える。
「……この作戦も無理か。」
ジャンはそう言ってため息を吐き、
「そういうことすんの止めさせたいけど、
そこまで頑なだとどうしようもねぇな……」
と、エマの頭に手を置いた。
「エマさん、本当にそれでいいの?」