第57章 身体だけの関係なら
ジャンを送り出した直後、
エマは食堂へ向かう。
『………失恋休暇、あればいいのに。』
そんなことを思いつつ、
厨房で昼食の準備に取り掛かった。
「エマ。おはよう。」
昼前、エルヴィンが厨房に顔を覗かせる。
「エルヴィンさん。おはようございます。」
エマはいつものように笑顔で挨拶をした。
「君に話したいことがあるんだが
今日の夜、少し時間をくれないか?」
エルヴィンは少し小声でエマに言った。
「すみません。
今日はちょっと予定が……」
エマのその返答に、
エルヴィンは軽くため息を吐くと
「リヴァイか。仲直りしたのか?」
そうエマに問いかける。
「まぁ、そんな感じです。」
エマは曖昧に答え、笑って見せた。
「そうか。それならしばらくは
君と二人で話せそうにないな。」
エルヴィンは残念そうに肩をすくませる。
「また誘うよ。リヴァイによろしく。」
エルヴィンはそう言うと、食堂を後にした。