第4章 エルヴィンの部屋にて
「……あの、エルヴィン団長に
そんな風に思ってもらえていたとは…
すごく光栄というか、私には、
ほんと、勿体ない言葉です。」
エマは自分の今の感情を、
どう説明していいか分からず
俯き、どもりながら話す。
「私もエルヴィン団長とリヴァイ兵長が
あの店に来てから、
自分の堕落した気持ちが一新したんです。
私の向上心の始まりは、あそこからです。」
「だから、感謝するのはやっぱり私の方ですよ。
ありがとうございます。」
そう言って笑うエマの話を
静かに聞いていたエルヴィンは
「………どうしてだろうね。
君といると安心するのに、鼓動が早くなる。」
と、左腕でそっとエマを抱き寄せた。
「……え?あ、あの、」
エルヴィンの胸の中で、どうしたらいいのか、
何を言ったらいいのか分からず、
動揺を隠しきれずにいるエマに
「……しばらく、こうしていてもいいかな。」
と、エルヴィンは静かに言った。
さっきよりも近くで聞こえる
エルヴィンの低く優しい声は、
エマの動悸を激しくした。
「……は、はい。」
やっとそれだけ答えると、
その状態のまま静かな時間が流れる。