第1章 出会いと変化
「お待たせいたしました。」
いつもと同じように接客する。
「ありがとう。」
そう言って少し微笑んだ団長の前には、
未だに納得いかないような顔の兵長。
どうもこの二人、立場と態度が逆な気がする。
なんてことを思いながら、
軽くお辞儀をしてホールを後にした。
だが、
「……おい、このスープは誰が作ったんだ。」
キッチンに戻ってすぐ、凍えるように冷たい
リヴァイ兵長の声で立ち止まった。
『おい!
今日のスープ作ったのはお前だろ!
行って来い!すぐ謝ってこい!』
小声でジムに小突かれる。
『え、いつもと同じスープだよ?』
同じく小声でジムを小突き返す。
『人類最強のお方のお口には
合わなかったんだろうよ。
とにかく懸命に謝ってこい!
若いお前が作ったと知ったら
きっと許してくれるんじゃねぇか?』
と、皮肉を込めつつも
心底怯えたような声を出すジム。
『はいはい、分かりましたよー』
私は小さく舌打ちをした。
人類最強ならどんなこと言っても
許されちゃうってわけね。
いいご身分だなぁ。
叱られる怖さより、怒りのほうが勝つ。
そもそもこのスープには自信があったのだ。
だけど、この店が潰れるようなことになったら
私の居場所もなくなる。
そうなると面倒だ。
恐る恐るホールに戻り、
すぐさま兵長に頭を下げた。
「すみません。
お口に合いませんでしたか……
すぐに片付けます。」
と、兵長のスープ皿に手をかけた瞬間
「……誰が不味いなんて言った?」
と、皿を持つ手を掴まれた。