第55章 強引な理由
「じゃぁもう誰にも話さず、
時々リヴァイ兵長思い出して一人で泣くんだな?
それともまた泣くときだけ俺に頼るのか?」
ジャンはエマの背中に
そっと触れる。
「そんなに話すのが嫌なら、
無理には聞き出さない。
でもな、俺はずっとエマさんが
こんな感じでやさぐれて、また恋人以外の男に
身体を許すようなことがあったら、
もう慰めなんてしない」
「もう、恋人じゃない。」
「…………なに?」
突然のエマの声の侵入に、
ジャンは反射的に聞き返す。
「昨日の夜、フラれた。
もう、お前は必要ないって。」
「は?冗談だろ?」
ジャンは驚きで声が裏返った。
「本当。愛想が尽きたって。
でも、身体だけの関係なら続けてやるって。」
ジャンは勢いよく立ち上がると、
「俺、リヴァイ兵長と話してくる。」
そう言ってドアの方へ向かう。