第53章 暗闇での反省会
誰もいない静まり返った訓練部屋で、
ジャンとエマは
息をひそめながら話しをする。
「なぁ、エマさん。
いくら今日は団長が恋人役だったとしてもな、
自分が兵長の恋人だってことを
もうちょっと自覚しろよ。」
ジャンはエマから
今日の大まかな出来事を聞きだし、
ため息を吐く。
「……その通り過ぎて、返す言葉もないです。」
エマは膝を抱え、俯いた。
「まぁ、生々しい話は詳しくは聞かないけど、
……結局団長とは最後までやったわけ?」
「いや、聞いてるじゃん。」
「え、その反応ってことは、
やったってこと?!」
「やってないよ!
てか、やったやった言わないでくれる?!」
エマは少し声を荒げると、
自分の声量に驚き口を塞ぐ。
「……悪い。問い詰めすぎた。」
ジャンはそう言うと、
エマから目を逸らす。
「……いえ。
私も大人気なくムキになりました……」
エマはそう言うと、大きくため息を吐いた。
「でもさ。リヴァイ兵長が
その現場を目撃することは、
時間的に考えてもまず無いだろうし。
兵長がエマさんに会わなかったのは
何か他に理由があるのかもな。」
ジャンは手を顎に当て、考え出す。
「そうなのかな。
途中でやっぱ帰るか。ってなったとか」
「それはねぇよ。」
ジャンはエマの言葉を遮る。
「……さっきの調査の時、
少し兵長と話したからな。
あれでエマさんのところに
行かないわけねぇんだよ。」
ジャンのその言葉を聞くなり
エマはジャンに向き直ると
「え、もしかしてその傷、それと関係ある?」
そう言って焦った声で問いかけた。
「いや。これはそんなんじゃねぇ。
いい加減、兵長信じろよ。」
ジャンはエマから目を逸らすと、早口に答える。