第53章 暗闇での反省会
エルヴィンとエマは基地に着き
少し会話をした後、
それぞれの部屋へ別々に歩き出す。
一人で歩き出して間もなく、
エマは今日あった出来事を振り返り、
後悔と懺悔の気持ちでいっぱいになる。
『いくら恋人のフリを
してもらっていたとは言え、あれはないな……
自分、何かと緩すぎるよ……』
そんなことを考えながら
歩いている最中、医務室から出て来た
ジャンに出くわした。
「ジャン!あれ、また怪我?」
エマはジャンの顔を覗き込む。
「え、エマさん。
いや、大した怪我じゃないから。」
ジャンは少しどもりながらそう言うと、
エマから顔を背けた。
「………怪しい。
誰かとケンカでもしたの?」
エマの問いかけに動揺しつつも、
「エマさんこそ。今日どうだったんだよ。」
と、問い返す。
「無事終わったけど、
無事でもなかったかな……」
エマは冴えない表情で答えた。
「え?リヴァイ兵長に会ったんだろ?」
ジャンは不思議そうに問いかけた。
「リヴァイさん?まさか会場に来たの!?
会ってないよ?!」
エマは思わず声を上げる。
「いや、向かったことは確かだぞ。
でも会ってないとなると……」
ジャンはそう言いかけたところで、
何かを思いついたかのように
エマの手を掴むと
「廊下で堂々と話せる話じゃない。
とりあえず、どっか空き部屋で話そう。」
そう言って歩き出した。