第51章 星空の帰り道
「もう会場の外ですから
これはダメですよ。」
エマはエルヴィンと繋がった手を
少し上に上げる。
「基地に帰るまでいいじゃないか。」
「誰かに見られたらどうするんですか?」
「私は見られても何も問題はないが。」
エルヴィンのその言葉に
エマは思わず吹き出すと、
「エルヴィンさん、私に対しての
自己主張が強すぎるんですけど。」
そう言って肩を震わせる。
「仕方ないだろう。
君が隠し事をするなと言い出したんだから。」
エルヴィンはふて腐れたように言った。
エマはそっとエルヴィンの手を離し、
「今日はありがとうございました。」
と、丁寧にお辞儀をする。
「色々とハプニングもありましたが、
なんとかこの場を乗り切れて良かったです。」
そう言って笑うと、エルヴィンは
「私も楽しませてもらったよ。色んな意味で。」
と、エマの顔を覗き込む。
「あ。またそういうこと考えてますね。
もうだめですよ!」
エマは咄嗟に口を押えながら言う。
「そうか。残念だが、
次のチャンスを待つとしよう。」
「だ、だから次はないですって!」
エマはエルヴィンの肩を強くたたいた。
「エマ。もう暗い。
危ないから手を繋いで帰ることに」
「しませんからね。」
エマはエルヴィンの言葉を遮る。
二人は同時に笑い出し
満天の星空の下、基地に向かって歩き出した。