第49章 エルヴィンの過去
「ちょっ、ちょっと待ってください!」
エマは思わずエルヴィンの胸を強く押し、
動きを制止させる。
「いや、なんと言うか……
さっきはあんな状況下なのにも関わらず
正直、快感を覚えてしまったというか、
意識が飛びそうになったというか……
なんですけど、
……やっぱり、こういうことは
恋人以外とするべきではないと思うんです……」
エルヴィンは黙ってエマの目を見つめる。
「今日もかなり、
ダメなことをしてしまいましたが……
もうこれ以上、リヴァイさんを
裏切るような真似はできません。」
エマはハッキリとした口調でそう言うと
ゆっくりエルヴィンに目を向けた。
「………君は、本当に正直すぎる。」
エルヴィンは肩を震わせて笑っている。
「え、待ってください。
今の、笑うところなかったですよね?」
エマは思わず赤面しながら言った。
「本気で君を抱こうとしていたが
君からリヴァイの名を聞くと、
やはり少し萎えるようだ。」
エルヴィンは赤面したエマを見ながら
また少し笑う。
「良かったです。
……ん?良かったんですよね?」
エマが思わず疑問文を投げかけると、
「私にとっては良くはないが。
だが君の口から、快感を覚えた、
と言う言葉が聞けただけでも大きな収穫だよ。」
そう言って笑顔を見せた。
「……つい先ほどまで
弱気だったエルヴィンさんは
どこにいったんですか……」
「もういないよ。
君がその私を打消したんだろ?」