第49章 エルヴィンの過去
「エルヴィンさん。」
エマはエルヴィンが
話し終えると同時に、名前を呼ぶ。
「……なんだ?」
「エルヴィンさんはすごいです。」
エマはそう言って、
自分の目から涙が零れていることに気付く。
「エマ?泣いているのか?」
エルヴィンは驚いてエマを見ようとするが
エマはエルヴィンから
目を逸らしたままで話し続ける。
「兵団の為にそこまでして……
私には考え付きません。
もし考え付いたとしても、
実行する勇気なんてないです。
それでも、エルヴィンさんは
兵団の維持の為に自分を犠牲にして……
その時のエルヴィンさんの
気持ちを考えると、何だか苦しくて……」
そこまで言ったところで、
エマは息がし辛くなり、
呼吸を整えようと浅い呼吸を繰り返した。
「エマ。深呼吸しなさい。」
エルヴィンはエマの背中を
ゆっくり摩りながら、声を掛ける。
「大丈夫だ。君が苦しむ必要はない。」
エルヴィンの言葉を受け、
エマはゆっくりと呼吸をし始めた。
「君は感受性が豊かすぎるな……
安心しろ。私はもう平気だから。」
エルヴィンは言い聞かせるように声を掛けた。