第45章 波乱に巻き込まれて
「エマ。」
エマは後ろから声を掛けられ、立ち止まる。
「エルヴィンさん。」
エマはホッとしたようにエルヴィンを見た。
「すまなかった。
私が側に居なかったから」
「エルヴィンさんのせいではないですよ。
というか、勝手に離れたのは私ですし。」
エマはエルヴィンの言葉を遮り、笑って見せる。
「だが、さっきの女性は私の知り合いでもある。
何か言われたんじゃないのか?」
そう言うエルヴィンの表情は、
なんとなく固く見える。
「……そうですね。
意味深なこと言いかけてましたけど、
もう気にしないことにします。」
エマは呆れたようにため息を吐いた。
「でもあの女性、
私たちが恋人同士だということを
鼻から疑ってたみたいですけど。」
エルヴィンはエマのその発言を聞き、
「……そうか。
さっきの女性はピクシス司令と
関わりが深い貴族のお嬢様だ。
疑われたままだと、まずいかもしれないな……」
そう言って何かを考えるように目を瞑る。
「取り敢えず、
続きは更衣室に入ってから話そう。」
エルヴィンはエマの手を取り、
更衣室へ急いだ。