第44章 パーティー前日の慌ただしさ
「とりあえず落ち着きなさい。」
エルヴィンはゆっくり立ち上がり、
エマをソファーに座らせると
クローゼットの中から大きめの箱を取り出す。
そして、
「エマの行動は予測済みだ。」
そう言って笑うと、箱の中身を空けた。
「エルヴィンさん、これ!」
エマは箱の中身をみて声を上げる。
箱には淡いオレンジのドレスが、
綺麗に畳まれて入っていた。
「きっと忘れているだろうと思って
注文しておいたよ。」
エマは言葉を失い、唖然とドレスを見つめる。
「さすがに私が買いに行くのは気が引けたから、
詳しそうな子に頼んだんだが。」
エルヴィンはそう言うと、再びソファーに座る。
「何てお礼を言ったらいいか……
ほんとに何から何まですみません……
ありがとうございます。」
エマは深々とエルヴィンに頭を下げた。
「あの、代金だけでも支払わせてください。」
エマはそう言ってエルヴィンを見入るが、
「いいんだ。
どうせ使い道がないような金だからね。」
と、エルヴィンはエマの申し出を断る。
「でも、これだけ良くしてもらって
何もお礼できないのは」
エマがそう言いかけたところで、
エルヴィンは突然立ち上がると
机越しにエマの顎を引き寄せ、目を見つめた。
「そうか。
それなら身体で払ってもらおう。」
エルヴィンのその言葉に、
エマは何も言えず固まった。