第44章 パーティー前日の慌ただしさ
その日の夜、
エマはエルヴィンに呼び出され、
エルヴィンの部屋に来ていた。
「いよいよ明日だが。
緊張しているんじゃないのか?」
エルヴィンはコーヒカップ片手に、
硬い表情のエマを見つめる。
「……少し、緊張してます。
人が集まるところに行くこと自体、
慣れないことなので……」
俯き気味に答えるエマに、エルヴィンは
「大丈夫だ。私は何度も経験しているからな。
君は私の側に居れば、何の問題もない。」
そう言って優しくエマに笑いかけ、
コーヒーを飲んだ。
「やっぱりエルヴィンさんが
隣に居てくれると思うと心強いですね……」
エマはそう言いながら、
エルヴィンに釣られて笑った。
「ところで、エマ。
明日着て行く服は用意したのか?」
エルヴィンのその問いに
エマは一瞬固まると、
「そんなこと頭になかった!」
そう言って勢いよく立ち上がる。
「まぁそんなことだろうとは思っていたよ。」
エルヴィンは焦るエマを横目に
落ち着いた様子でコーヒーを飲んだ。
「この時間、まだ空いてる仕立て屋さんとか
ありますかね……」
エマは我に返り、頭の中で考えを巡らせる。