第43章 ダンスの練習
「……褒めた途端これ?」
ジャンはエマを支えながら失笑する。
「いや、調子に乗った……ごめん。」
エマはジャンに
しがみつきながら答えた。
やはり自分に踊りのセンスは皆無だ。
再びそう思いながら、目を伏せる。
「まぁいいけど……
つか、ランプの破片散らばってるから、
あんまり動くなよ。」
ジャンは自分の上に
馬乗りになった状態のエマの腰を掴んだ。
「……うん。
これだけ暗いと動けそうにもないし。」
エマはそう言いながらドアの方を見る。
ドアの隙間から、少し明かりが漏れているが
足元は殆ど見えなかった。
「エマさん、ちょっとドア開けてくるから、
俺が座ってたとこ移動して。」
ジャンはそう言って
エマを離そうとするが、
エマの手はジャンの背中を
掴んだまま離さない。
「……あ。暗いとこだめなんだっけ。」
ジャンは思い出したように、頭を掻いた。
「……ごめん。
だいぶ克服できたつもりだったんだけど、
いきなり暗闇になると
まだちょっとダメみたい。」
エマはジャンの服を掴みながら答える。
「もう少しこのままでいてもいいかな?」
不安げなエマの声に、
「まぁ俺はいいんだけど、」
ジャンはそう言いながらも、
エマの胸が当たる感触に気付く。
そして、耳元で聞こえる
エマの少し荒い息遣いに
小さく身震いをした。