第42章 喧嘩の後で
「なるほど。
それでは、君が泣いたときに
ジャンが側にいたという事か。」
「え、そこですか?」
予想外の着眼点に、
エマはあっけにとられる。
「まさかジャンも、とは……
完全に盲点だったな。」
エルヴィンは小声で呟き、ため息を吐いた。
「取りあえず、これからリヴァイさんに
謝ってこようと思います。」
「エマから謝るのか?」
エマの提案を却下するように、
エルヴィンは問いかける。
「え。でも謝らないと、この気まずい状態が
いつまでも続くわけですよ?」
「そうだな。だが君の話を聞く限り、
エマから謝るのもおかしい気がするが。」
エルヴィンはそう言ってエマを見つめる。
「別に謝ることが悪いと
言っているわけではない。
だが、エマが先に謝ることで、
リヴァイは自分の何がエマを怒らせたのか、
分からないままになるんじゃないか?」
エマはエルヴィンの問いかけを受け、
考えを巡らせた。
「……でも、リヴァイさんに
私が怒った原因なんて分からない気がします。」
エマはやっとそう答えると、
エルヴィンに視線を送る。
「そうかな?」
エルヴィンは優しい表情で話を続ける。
「リヴァイは変わってきていると、私は思うよ。
少なくとも、なぜエマが怒ったのか
今彼なりに考えている最中だと思うが。」
エルヴィンのその言葉を受け、
エマは少し黙考すると
「……なんか私、
焦りすぎてたのかもしれないですね。
もう少し、時間を置こうと思います。
ちょっと私も冷静になります。」
そう言って小さく笑った。