第40章 幸せな時間の後に
リヴァイとエマが部屋に戻ると、
「リヴァイさん。
あれは言いすぎですし、やりすぎです。」
そう言って、エマはリヴァイを注視する。
「ジャン、完全に怯えた目でしたよ?」
「怯えさせるくらいが丁度いい。」
「よくないです。」
聞きなれないエマの強い口調を耳にし、
リヴァイは思わずエマの目を見入る。
「ジャン、
私にこれを貸しに来てくれたんですよ。」
エマはそう言うと、
紙袋の中身をリヴァイに見せた。
「もし、週末のパーティーで踊る機会があったら
私が恥かいてもいけないと思って、
持ってきてくれたみたいです。」
エマはそう言って小さくため息を吐く。
「別にお前は誰とも踊らなくていいだろ。」
リヴァイはシャツを着ながら、
呆れたように言う。
「……リヴァイさんなら、
そうできるかもしれないです。
でも、私はその場で誘われて
ハッキリ断る自信はありません。」
「なんだ。お前は他の男と
身体を密着させても平気ってことか。」
「そんなこと言ってないですよね?」
「同じことだろ。」
エマは勢いよく立ち上がると、
「リヴァイさんに、
この気持ちは分からないかもしれないです。
と言うか、今の状態でこの話をしていても
埒が明かない気がします。」
そう言ってリヴァイに背を向けた。
「談論はここで放棄するってことだな。」
リヴァイのその言葉に、
「放棄してんのはどっちですか?」
と、エマは呆れた口調で言う。
「もういい。部屋に戻る。」
リヴァイはため息を吐き立ち上がると、
書類を持って部屋を出て行った。