第39章 ジャンに相談
「……知らない、です。
これ、やばいですかね?」
両手で顔を覆ったまま、
小声でつい敬語になるエマ。
「まぁ、どうだろうな。」
「なに、その曖昧な答え!」
エマは顔を上げるとジャンを注視する。
「俺が教えてやれないこともないけど。」
ジャンのその言葉に
エマは目を丸くした。
「え、まさか。ジャンは踊れるっていうの?」
「どんだけ失礼だよ。」
ジャンはエマの頭を小突く。
「俺も一応憲兵目指してた頃あったし、
それくらい少しは勉強したに決まってんだろ。」
「……教えれるくらい上手いの?」
エマの疑いの目に、
「小さいころ、母親に習わされてたんだよ。
憲兵になったら必要になるからってな。」
ジャンはそう答えて、目を逸らす。
「そっか。
ジャンは憲兵団志望だったんだね。」
「……俺の話はいいよ。」
ジャンはエマに背を向けた。
「ジャン。いや、師匠。」
エマのその呼びかけに、
ジャンは振り向く。
「ダンス、
教えてもらってもいいですか?」
エマはジャンに手を差し出した。
「………仕方ねぇな。」
ジャンは小さく笑うと、
エマの手を強く握った。