第38章 エルヴィンの提案
「君が壁の花になることを避けたいだけだよ。
ただでさえ慣れない集まりだ。
誰かといるだけで、
随分気持ちが楽になるだろ?」
エルヴィンは優しくエマの髪を撫でる。
「エルヴィンさんの説得力がありすぎて、
私の解決策が霞みます……」
「そうか。今日は褒められてばかりだな。」
エルヴィンは楽しそうに笑った。
「……でも、この役回りを
エルヴィンさんにさせるのって」
「大丈夫。
そんなことは私にとって酷でもないし、
傷付きもしない。」
エマの言葉を先読みして、
エルヴィンは答える。
「……本当に何でもお見通しですね。」
「分かりやすいからな、君は。」
エルヴィンはそう言って少し笑い、
「一日でも君の恋人になれるんだ。
これは私にとって嬉しいことなんだよ。」
と、エマの目を見つめた。
「……すみません。ありがとうございます。」
「それは、私を連れて行ってくれる
ということなのかな?」
「はい。お願いします……」
エルヴィンはエマの肩に手を置くと
「任せなさい。しっかりエスコートしよう。」
そう言って笑って見せた。