第38章 エルヴィンの提案
エマは少し間を置くと、
エルヴィンの言葉の意味に勘付いた。
「……いや。さすがにそれは無理です。
まず、その人って顔割れすぎてますよね?」
「顔が割れていても問題はないだろう。
その場限りの恋人役を
演じきればいいのだろう?」
「……それなら誰も
連れて行かない方がいいです……」
エマのその言葉に、
エルヴィンは深くため息を吐くと、
エマの横に座り直した。
「エマ。
そんなに私が信用できないのか?」
「いやいや!信用の問題じゃないです!」
「大丈夫だ。うまくやる。」
「無理ですよ!
エルヴィンさん連れて行ったら、
それこそ注目の的ですよ!!!」
焦るエマを見て、
エルヴィンは笑い出す。
「そうだな。注目されるかもしれない。
だが、その“おじさん”は、
きっと安心するんじゃないか?
団長を連れてくる君の度量に。」
「……急に自信に満ちたこと言い出しますよね、
エルヴィンさんって。」
エマはため息を吐いた。