第38章 エルヴィンの提案
「はい。というか、候補が少なすぎるんで、
ほぼ選択肢はなかったんですけど……」
エマは自信なさげに目を伏せ、
「ジャンに頼もうと思います。」
と、頭を掻きながら言った。
「私、104期の子ばっかりと仲良くて、
他の兵士の知り合い、あまりいないんですよね。
エレンでもアルミンでも
コニーでも良かったんですけど、
エレンは顔が割れてるし、
アルミンとコニーは見た目が幼いので、
さすがに私の恋人と言うには
難しいかと……」
「それでジャンが適任だと思ったのか。」
エルヴィンはそう言うとため息を吐く。
「この作戦、無理がありますか?」
いきなり団長の顔になるエルヴィンに、
エマは心配そうに問いかける。
「そうだな。
あまり得策ではないだろう。」
「……エルヴィンさんに言われると、
自信なくなるんですけど……」
エルヴィンは顎元に手を置くと、話し始める。
「まず、ジャンはまだ酒が飲めない年齢だ。
貴族の集まりならば、
酒が飲めないのは致命的だ。
もし無理に飲んだとしても、
飲みなれない物を飲んだ後の結果は
見えている。」
「……そうですね。」
エマはいきなりの的確な意見に肩を落とす。
「次に、ジャンは15日の調査に
参加することが決まっている。」
「え!!!
それこそ致命的じゃないですか!」
エマは思わず声を荒げた。
「最後。エマは一人、
忘れているんじゃないのか?
他にも頼れる人がいるだろう。」
エルヴィンはニヤリとエマに笑いかけた。