第38章 エルヴィンの提案
「私で力になれるなら、話を聞こう。」
エルヴィンのその言葉に、
「……いえ、自力でどうにかします。」
と、エマは目を逸らしながら言う。
「エマ。何か困ったことがあったら
相談するようにと、最初に言ったはずだが。」
「ほんとにそれ、ここに来て
最初に言ってくれた言葉ですね。」
エマはこの基地に来た初日に、
エルヴィンと会った時のことを思い出す。
「そうだな。」
エルヴィンはそう言って少し笑い、
「私は君に頼られたいんだよ。」
と、エマの目を見つめた。
「……エルヴィンさんの目には
自白効果がありますよね。」
「それは褒め言葉として受け取っておこう。」
エマはため息を吐くと、
さっきの出来事を話し出す。
「でも、解決策は見えてるんです。」
エマは一通り話し終えると、
少し得意げに言う。
「……解決策?」
エルヴィンは首を傾げた。
「代役、立てようと思って。」
「恋人の代役か?」
「はい。口が堅くて、
顔が割れてない人を連れて行けば、
その場は乗り切れると思うんですよね。」
「その代役に、目星は付いているのか?」
エルヴィンは興味深げにエマの目を見る。