第38章 エルヴィンの提案
部屋に着くと、
エルヴィンはエマをソファーに座らせ、
コーヒーを入れ始める。
「エルヴィンさん、私がやります。」
エマがそう言って
エルヴィンの隣に立つと、
「いや、たまには私にもさせてくれ。」
エルヴィンはエマの肩を優しく叩いた。
「……と言うか、
仕事中じゃなかったんですか?」
「ああ。仕事中だった。
だが、たまには休憩したい時もある。」
エルヴィンは首を回す。
「私の休憩に付き合ってくれるか?」
エマは少し笑うと、
「いいですよ。」
と、返事をした。
「それにしても、エマ。
何か悩み事があるんだろう。」
エマにコーヒーを渡し、
エマの向かいのソファーに座った直後、
エルヴィンは唐突に話し出す。
「え、何ですか、急に。」
エマは動揺を隠しきれず、
目を泳がせた。
「食堂で掃除をする手が、
何度も止まっていたからね。
何か考え事をしていたんだろうと思ったんだ。」
「……いつから見てたんですか?」
エマは恥ずかしそうに
エルヴィンを見る。
「君のことはずっと見ているが。」
「いや、そういう意味じゃなくて……」
エマはそう言うと、また頬を赤らめた。