第37章 突然の招待
「そうか。ワシの頼みが聞けないのか。
ワシはだいぶエマに貸しがあると
思うんだがのう。」
男は顎元を摩ると、エマをじっと見つめる。
「それ、ここで出すの?
ずるいでしょ……!」
エマは男の肩を掴む。
が、男はにこやかに笑うと、
「貴族が集まるパーティーだ。
普段は食べられないような興味深い食材や、
旨い物もたくさんあると思うぞ?」
そう言ってエマの心を揺さぶる。
「ほんとおじちゃんは、
昔から私の心を掴むのが上手いよね……」
エマはチラッと招待状に目をやった。
「ワシはエマが心配なだけじゃ。
本当に恋人がいることを確認できれば、
それで安心する。
お前が選んだ人なら、
悪い人ではないんだろう?」
男の優しい眼差しに、
エマは小さく頷いた。
「会場で会えるのを楽しみにしておるからな。」
男はそう言ってエマの肩を叩き、
去って行った。
「どうしよう………」
エマは招待状を握り締めると、
深いため息を吐いた。