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自由の翼を掴む話【進撃の巨人】

第36章 リンゴ事件



「そう言えば、エレン。
目、覚ましたよ。」

ジャンはエマのその一言を聞き、
勢いよく起き上がる。


「何でそれ先に言わねぇんだよ!」

だが、そう言ったところで
頭痛に負け、またベッドに寝転がった。


「興奮すると、熱上がるかなぁと思って。」

「……結局言ってんだから、意味ねぇだろ。」

「そうだね。嬉しかったから
言わずにいられなかった。」

エマは頭を手で押さえるジャンを見て、
楽しそうに笑う。


「エレン、大丈夫なのかよ。」

「うん。少なくとも、
今のジャンよりは弱ってないと思う。」

「……なんか気にくわねぇな。」

ジャンは頭を掻きむしった。







「はい、ジャン。あーん。」

エマはリンゴを切り分け、
ジャンの口に運ぶ。


「……っ、あーんじゃねぇよ!
ガキじゃねぇんだぞ。」

ジャンはエマの手を抑えて抵抗するが、

「いやいや、別にジャンのこと
子どもだと思ってるわけじゃないよ。
病人に優しくしてるだけ。」

エマは抑えられた手を押し返す。


「やめろ、自分で食べれる。」

ジャンはそう言うと、手を離した。



「でも今は、いい。
エマさん先に食べろよ。」

「そっか。じゃぁお先にいただきます。」

エマはジャンに食べさせるはずだった
リンゴを口に頬張り、

「お、意外と甘い。
ジャンも意地張ってないで食べなよ。」

そう言ってリンゴを楊枝にさすと、
ジャンに手渡そうとする。


「………ほんと、エマさん
何も分かってねぇんだな。」

ジャンはそう呟くと、小さくため息を吐いた。

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