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自由の翼を掴む話【進撃の巨人】

第36章 リンゴ事件





「サシャ。ジャン、見なかった?」

エマは食堂でパンをむさぼる
サシャに声をかける。


「しゃん、てすか?」

サシャはパンから口を離さず聞き返す。


「ジャンなら、医務室で寝てるよ。」

横でサシャから飛び散るパン屑を
払いながら、コニーが答えた。


「医務室?」

「ああ。
傷口が少し化膿してたみたいで、
熱が出たんだって。」

「大丈夫なの?」

「医者は心配ないって言ってたけど。」

エマは口に手を当てて少し考え込んだ後、

「コニー、ありがとう。」

そう言ってコニーの肩をたたくと、
医務室へ向かった。















「……お邪魔します。」

エマは静かに医務室のドアを開ける。


薬品の臭いが鼻につく。

医者は、いないようだった。



エマは仕切られているカーテンを、
手前から少し捲って、中を確認しながら歩く。



一番奥のカーテンを開けると、
ジャンが背を向けて眠っているようだった。


「ジャンは後姿でわかるねぇ。
髪型が特徴的だから。」

エマはそう言いながら、
ベッドの横の椅子に座った。


「……それ、けなしてんの?」

エマはジャンの声に反応し、
顔を覗きこむ。


「あれ、起きてるの?」

「ああ。今起きた。」

「……起こしちゃった?」

エマは少し小声になる。


「……今更小声にしてもおせぇよ。」

ジャンは小さく笑った。

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