第34章 深い眠りの中で
しばらくして、エレンが目を開ける。
黄金色の瞳は、少し充血していた。
「エレン?分かる?」
エマはエレンの顔を覗きこむ。
「……エマさん?」
エレンはそう言った後、
ゆっくり視線を動かし、リヴァイを見つけ、
「兵長……俺、すみません……」
と、さっきよりハッキリした声で話した。
「お前が謝ることはねぇよ。」
リヴァイはホッとしたようにため息を吐く。
「エレン……、良かった……」
エレンの手を握るエマの手に力が入った。
「なんか、匂いがしたんです。」
医者の診察が終わった後、
エレンはゆっくり口を開く。
エマはスープの入った皿を
エレンに見せ、
「これのことかな?」
と、問いかけた。
「そう。それ。
よく母さんが作ってくれたんだ。」
リヴァイは椅子に座り、
その話を黙って聞いていた。
「なんか、懐かしい匂いがして、
家に帰って来たのかと思った。」
エレンは小さく笑う。
「そうだったんだね。」
エマはエレンの頭を撫でると、
「起きてくれて良かった。
ちゃんと帰ってきてくれて、
本当に良かった……」
そう言って小さくため息を吐く。
「ごめん。ありがとう……」
エレンはエマに笑いかけた。