第34章 深い眠りの中で
「それにしても、何でお前の得意料理は
スープが中心なんだ。」
リヴァイは足を組み直し、退屈そうに聞く。
「リヴァイさんのせいですからね……」
「俺のせいだと?」
「リヴァイさんがスープにばかり
興味を持ってたから、スープを中心に
勉強した結果、こうなりました。」
エマは少し俯きながら答える。
リヴァイは少し頬を緩めると
「いい結果じゃねぇか。」
そう言ってエマの目を見つめた。
「……他は、これから努力します。」
エマが目を伏せた、その時。
「エレン……?」
リヴァイが突然エレンに声をかけ、
エマはエレンに視線を向けた。
「おい、聞こえてんのか?」
エレンの手は、リヴァイの声に
反応しているかのように小さく動き、
エマは思わずエレンの手を握る。
そして、
「エレン、みんな待ってるよ!」
そう言うと、エレンの顔を見つめた。
その時。
エレンの手がエマの手を弱々しく握り返す。
「おい、医者を呼んで来い。」
リヴァイは部屋の外で
見張りをしていた兵士に声をかけた。
「エレン。聞こえているなら返事をしろ。」
「………かあ…さん」
エレンは呟くように言った。
「……かぁさん、」
次第にその声はハッキリしてくる。
エマは黙ってエレンの手を握り、
リヴァイはその様子を静かに見守った。