第31章 調査兵団帰還
基地に帰って来た兵士たちは、
声をかけるのも躊躇われる程に傷付き、
疲れ果てていた。
エマは食事の用意と
傷付いた兵士の手当に追われる。
そして手当をする最中、
一人の兵士に声を掛けられた。
「ただいま。」
弱々しい声に後ろを振り返ると、
右腕を包帯で吊った状態のジャンが
エマに笑いかけていた。
エマは思わずジャンの手を握りしめ、
「おかえり。
帰ってきてくれて、ありがとう……」
やっとそれだけ言うと、
涙が頬を伝うのを感じた。
食事も終わり、
兵士たちの手当も落ち着いてきた頃。
ジャンはエマの隣に座り、話し始める。
「兵長には会えた?」
ジャンのその言葉で、
リヴァイが無事であったことを知り
エマは思わず涙ぐむ。
「その様子じゃ、まだ会えてはないようだな。」
ジャンは左手でエマの頭を軽く叩いた。
「今は会わない方が良いかもしれない。
兵長の指示の元、かなりの兵が死んだ。」
エマはその言葉に、ジャンの顔を見上げる。
「兵長のせいではないよ。作戦のためだ。
仕方ない犠牲だったんだと思う。」
ジャンの瞳には少し涙が映っていた。
「……でも、仕方ない犠牲、なんてないよな。
そのことは兵長が一番感じてると思う。」
ジャンはそう言うと立ち上がる。
「エマさん、兵長を支えてあげてくれよな。」
ジャンのその言葉に、エマは胸が痛んだ。