第31章 調査兵団帰還
それから調査兵団が基地に戻るまでの間、
エルヴィンとエマは
憲兵団での仕事をこなしつつ、
調査兵団の帰りを待つ。
エルヴィンはエマに触れることを
躊躇わなくなり、
突然思い出したように泣き出すエマを
優しく抱きしめることも多くなった。
そして、調査兵団が戻る予定の日が
三日ほど過ぎた頃。
エマは食堂の椅子に座り、
机に顔を伏せて足を揺らす。
エルヴィンはそんなエマの横に座り、
本を読んでいた。
「エルヴィンさん。」
「なんだ?」
エルヴィンは本から目を離す。
「……帰還予定日、三日も過ぎました。」
「そうだな。」
「心配じゃないんですか?」
「心配だが、私にはどうすることもできない。」
エルヴィンはそう言ってエマの頭を
撫でると、再び本に目を向ける。
「……こういうとき、
エルヴィンさんって冷静ですよね。」
「仮にも団長だからな。
私が不安がっていてどうする。」
エルヴィンは本のページを捲りながら答える。
「それにしてもエルヴィンさん、
なんか素っ気なくないですか?」
エマのその言葉を受け、
エルヴィンは静かに本を閉じる。
そして、
「なんだ。相手がして欲しかったのか?」
そう言うと、エマの手を引き
優しく抱き寄せた。