第30章 触れない理由
「……すみません。
私、かなり身勝手ですね……」
「私がまだそれでいいと言ったんだ。」
エルヴィンはゆっくり目を瞑る。
「せめて今回はリヴァイが戻るまで、
私を利用してもらいたいな。」
「利用だなんて……」
エマはエルヴィンの言葉を否定しながら、
リヴァイの言っていたことを思い出した。
《何も俺を待ち続けろとは言わない。
お前が判断したらいい。
今は分からないかもしれないが、
いずれ分かる。
その時は、お前の判断に任せる。
お前は自由に生きろ。》
「リヴァイさんが言ってたこと、
こういう事だったんだ……」
エマは小さく呟くと、
エルヴィンの胸に顔を埋める。
『私の判断……自分で決めないと。』
そう思いながら、また少し涙ぐんだ。