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自由の翼を掴む話【進撃の巨人】

第30章 触れない理由



少しの沈黙の後、エマは話し始める。

「エルヴィンさん。
私も今の正直な気持ち、話してもいいですか?」


「何だい?」

エルヴィンは横目でエマを見る。



「私、迷ってるんだと思います。」

エマは少し俯いた。


「リヴァイさんの恋人になって、
後悔したことなんてありません。
でも、こうやって離れてみると思うんです。
なんで近くに居てくれないんだろうって。」

エルヴィンは書類を捲る手を止める。


「私の勝手な我儘なことは分かってます。
リヴァイさんは兵士長で、
これから先何度も壁外へ向かうってことも
分かってて想いを伝えて、恋人になりました。
でも、これからの事を考えると不安ですし、
やっぱり淋しくなるんです……」

エマは涙が出そうになるのを抑えて
話し続ける。

「……そんな時、
エルヴィンさんに優しくされて、正直嬉しくて。
もしエルヴィンさんが恋人だったら、
って考えて。
自分勝手すぎる考えに、自分でも呆れます。」

エマはそこまで言うと、
一呼吸おいて、頭を掻く。




「……つまり、リヴァイがいない淋しさを
私で満たしたい、という話だな。」

エルヴィンはそう言うと、
書類を机の上に置き、メガネを外した。


「そんなつもりじゃ」
「それならどういうつもりなんだ?」

エルヴィンは真剣な表情でエマを見つめる。


「エマは今、
リヴァイがいないことが淋しいだけだ。
それは、私に気持ちがある
ということではない。」

エルヴィンはエマに詰め寄った。


「完全に否定できるか?」


「……いえ。完全に否定はできません。
でも、エルヴィンさんに
完全に気持ちがない訳ではないです。」

エマはエルヴィンの目を見つめ返した。

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