第29章 憲兵団での仕事
「でもさ、今は好きな人が傍にいないから
揺らいでるのかも知れないし。」
「やっぱりそう思う?」
「まぁね。でもこれから先、
その好きな人って調査に出続けるわけでしょ?」
「そうなるね。」
エマはリヴァイの顔を思い浮かべる。
「それなら、いっそのこと
エルヴィン団長に乗り換えるのも、
手かも知れないよ。」
「の、乗り換えるって……」
「しょっちゅう壁外へ出て、
危ない目に合う人を想い続けるのって
結構きついことだと思うけど。」
「………」
「エルヴィン団長は
もう調査に出る可能性は薄いし、
団長って肩書もいずれ誰かに譲るんだろうけど。
そうしたら、ずっと傍にいられる
ってことだよね?
私だったらエルヴィン団長を
選ぶかも知れないなぁ。」
エマはサラの話を聞きながら考え込む。
確かに、これから先
何度もリヴァイの後姿を見送ることを考えると、
胸が痛くなる。
できることなら、
ずっとリヴァイの側にいたい。
だが、リヴァイが調査兵団の団員である限り、
それは難しい。
と言うより、無理な話だ。
リヴァイが帰ってくるのを
壁の内側で待ち続ける生活。
それを考えると、頭が痛くなってきた。