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自由の翼を掴む話【進撃の巨人】

第3章 再会




「御嬢さん、久しぶりだね。」

次の日の昼下がり、
感慨深く調査兵団の基地を見つめるエマに
後ろから声をかけたのは、エルヴィンだった。


「エルヴィン団長!
あの、この度は……」

懐かしい顔を見て嬉しくなり、
思わず声を上げる。

が、エルヴィンの右腕を見て言葉を失った。


「ああ。この腕のことかな。
ちょっと食べられてしまってね。」

そう言って優しく笑うエルヴィンだったが、
そんな優しい表情を見ることさえ辛くなった。



「……あの、ありがとうございます。
引き抜いてくれたの、
エルヴィン団長のお声掛けもあったんですよね。」

「君のスープは格別だったからね。
忘れられない味だよ。
ぜひ調査兵のみんなにも
食べさせてやってくれ。」

エルヴィンは優しくエマの肩を叩くと、
建物の中に入る。



「あ、あの!!!!」

エルヴィンが見えなくなる直前、
思わず引き止めた。


「なんだ?」

エルヴィンは建物の中から
不思議そうに顔をのぞかせる。


「ありがとうございます。
人類のために、団長は腕を犠牲に……」

そこまで言って、言葉に詰まる。


「いいんだ。腕の一本くらい大したことではな」
「いや!私もますます頑張ろうと思いました!
絶対みなさんの力になります!
みなさんの力になる料理を作りますから!」

エルヴィンの声を遮って、
思わず大きな声が出る。



「すっ、すいません。
ただの料理人のくせに……」

思った以上に大きな声が出て、顔を赤らめた。


「ははは、君は相変わらず面白いな。」

そう言って笑ったエルヴィンの顔は
心から笑っているように思えて安堵する。


「期待しているよ。
何か困ったことがあったら私に相談しなさい。」

エルヴィンの声は落ち着いていて
安心できる。

心底“団長”という肩書に似合った人だと思った。

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