第27章 距離が縮まる夜

「そうやって、すぐ赤くなられると、
また行動を起こしたくなるんだが。」

「……これは私の習性です。
気に留めないでください。」

「いちいち気に留めたくなるのが私の性分だ。」

エルヴィンはエマを抱き寄せた。



「今日はこれ以上、何もしない。」

「……今日は、って言い方もおかしいですし、
実際これもダメだと思うんですけど……」

「そうかもしれないな。
だが、離れるつもりはないよ。」

エルヴィンは少し笑うと、
エマの髪を優しく撫でる。



「エルヴィンさん、
結構抜け目ないですよね……」

「どういう意味だ？」

「……分からないならいいです。」

エマはエルヴィンの胸に顔を埋める。



「エマが弱っているであろう時に、
私がこうして君を抱きしめていることについての
抜け目なさの事を言っているのかな？」

「何でもお見通し過ぎて、
返す言葉もないです……」

エマは深くため息を吐いた。


「不安な気持ちは私も同じだ。
だが、兵団が調査に出ているにも関わらず
また君に手を出している事実には
自分で自分を軽蔑するがな。」

エルヴィンもため息を吐く。