第27章 距離が縮まる夜
エルヴィンがシャワーを終えて部屋に戻ると、
エマはベッドに座って
窓の外を見ていた。
「眠っていても良かったんだよ?」
エルヴィンはエマの横に座ると、
肩にかけたタオルで髪を拭く。
「いや、また何かしら
迷惑かけそうなので、もう寝ません。」
エマのその言葉にエルヴィンは笑う。
シャワーから上がったばかりのエルヴィンは、
いつものきっちり分けられた前髪が下され、
少し水が滴っている。
身体からは湯気が立ち、
宿の備え付けのシャツの隙間からは、
鍛え上げられた胸元が見えた。
エマは急に恥ずかしくなり、
エルヴィンから少し離れる。
「……警戒しているのかな?」
エルヴィンはエマの顔を覗き込む。
「……あまり男の人のお風呂上がりの姿とか、
見慣れてなくて。
少し恥ずかしくなっただけです……」
エマは少しどもりながら、
エルヴィンの顔を見ずに答えた。
「なるほど。と言うことは、
リヴァイとも、まだそこまでの関係には
至っていないということか。」
「そこまでの関係って……」
エマは思わず頬を赤らめる。
「エマは喧嘩での手は早いが、
こっちの方に関しては疎いようだね。」
エルヴィンはそっとエマに近付き、
距離を詰める。