第27章 距離が縮まる夜
しばらくして、
「……しまった。寝てしまっていたか。」
そう呟くエルヴィンは
重い体を起こそうとするが、
服が何かに引っ張られていることに気が付いて、
右横を見る。
「エマ?」
エルヴィンは、自分の服を握り締め、
ベッドに横になるエマに声をかけた。
が、起きる気配はなく、
気持ちよさそうに寝息を立てている。
「無防備すぎるな。
リヴァイが心配する気持ちも分かる。」
エルヴィンはそう言うとまた横になり、
エマの髪を撫でた。
それから数時間後、
エマは目を擦りながら目を覚ます。
そして、
目の前で目を瞑っているエルヴィンに驚き、
勢いよくベッドから落ちた。
「エマ!大丈夫か?」
大きな音に驚いたエルヴィンは
ベッドの下を覗き込む。
「………なんとか。」
エマはそう答えると
恥ずかしそうに俯いた。
「君も疲れているようだな。」
「もしかして私、エルヴィンさんの服、
掴んで寝てましたか……?」
「よく分かったな。」
「……自然とよくやってるみたいで。
すみません……」
「君は今日、私に謝ってばかりだな。」
エルヴィンはそう言って少し笑うと、
エマの腕を掴み、ベッドに上がらせ、
「私もシャワーを浴びてくる。
ゆっくりしていなさい。」
と声をかけて、シャワールームへ向かった。