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自由の翼を掴む話【進撃の巨人】

第26章 寛大すぎる心



「それにしても、
エマとこうして並んで
街を歩くのは不思議な感じがするな。」

エルヴィンはエマに顔を向ける。


「私も同じこと考えてました。
と言うか、周りからの視線も感じますしね。」

エマはチラッと周りに目を遣る。


内地の街だけあって、人通りも多く、
エルヴィンの名前を
小声で口にする市民が少なからずいた。



「私は大きいからな。
団服を着ていなくても気付かれやすい。」

「そこですか?」

エルヴィンの言葉に、
エマは思わず笑ってしまう。



「エマ。もしかしたら、
心ない言葉に腹を立てることが
あるかもしれないが、
その時は我慢してくれ。」

「何の話ですか?」

エマはエルヴィンの顔を覗き込んだ。










日の沈みかける頃、
あらかた買い物が済んだエマとエルヴィンは、
休憩がてら喫茶店のテラスでお茶を飲む。


「エマとこんなことをしていると
リヴァイが知ったら、どうなるかな。」

「買い物してるだけじゃないですか。」

エマはエルヴィンの言葉に言い返すが、

「私はデートだと思っていたんだが。」

と、エルヴィンはエマに笑顔を向ける。



「……そんなにこやかに言わないでください。
否定しにくいです。」

エマは少し赤くなると、俯いた。



その時、

「おいおい、調査兵団は
調査に出てるって言うのに、
団長は女といちゃついてんのか。」

「まぁ言っても、調査兵団だって
何しに壁の外に出てんのかわかんねぇけどな。」

「大した成果も上げてないくせに、
税金泥棒もいいとこだ。」


昼間から酒を煽っているのか、
乱暴な声がエマの耳に届く。




「一言物申してきてもいいですか?」

エマは思わず立ち上がる。
が、エルヴィンに腕を掴まれた。


「いや。彼らの言いたいことも
分からないでもない。
言わせておけばいい。」

エルヴィンは静かに目を閉じる。

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