第26章 寛大すぎる心
次の日の昼過ぎ、エマは基地の入り口で
エルヴィンを待っていた。
『買い出す物、私も意外にあったなぁ……』
そんなことを思いながらメモに目を向ける。
「エマ、すまない。待たせたかな?」
「大丈夫です、私も今来たところ」
エマはそう言いかけて、息を呑んだ。
「どうかしたか?」
「いや、エルヴィンさんの私服、
初めて見たなって思って。」
「……変だろうか。」
エマの顔を覗き込むエルヴィンに
「いや、予想外に恰好よくて
びっくりしただけです。」
エマはそう言って、
恥ずかしそうに目を逸らした。
「予想外、は心外だが、
そう言ってもらえて嬉しいよ。」
エルヴィンはエマに笑いかける。
「それでは行こうか。」
エルヴィンとエマは並んで歩き出した。
「エルヴィンさん、まずどの店行きますか?」
「そうだな……
荷物が嵩張らないものから買いに行こうか。」
「さすがエルヴィンさん。
計画性がありますね。」
エマはエルヴィンの腕を肘で小突く。
「団長をしているだけあるだろう?」
エルヴィンは冗談めかしてそう答えた。