第24章 兵団の為に出来ることを
昼食の時間も近付き
廊下は人通りが多くなってきて、
抱き合っているエレンとエマを
他の兵員が横目で見ながら通り過ぎていく。
「……エマさん、かなり見られてるけど。」
「廊下だからね。仕方ないでしょ。」
「いいの?噂になるかもよ?
廊下で堂々と巨人男と抱き合うのは
兵長の彼女!………みたいな。」
エレンのその言い回しに、
エマは思わず吹き出した。
「なに、その見出しみたいな噂。
ちょっと面白いんだけど。」
そう言って肩を震わせて笑うエマを、
「エマさんって、
ほんと不思議な人だよな。」
と、エレンは一層強く抱きしめる。
「……でも、なんとなくだけど、
ジャンや兵長の気持ちが分かるよ。」
「何の話?」
「こうしてエマさんのこと
抱きしめてたら、なんか安心する。」
エレンはそう言うと、
エマの肩に頭を乗せる。
「そうやって言ってもらえたら、
私がここに居る意味がある気がして
嬉しくなるよ。」
エマは優しくエレンの髪を撫でた。
その時、
「エレン!エマさん!」
二人は突然の呼びかけに顔を上げ、
声のする方を見る。
「アルミン。」
エレンはエマを離すと、
アルミンに笑いかけた。
「こんなところで堂々と……
もう噂になってるよ。」
アルミンは小声で二人に耳打ちする。
「廊下で堂々と巨人男と抱き合うのは
なんと兵士長の女!っていう噂?」
エマが茶化すようにそう言うと、
エレンは声を出して笑った。