第24章 兵団の為に出来ることを
エマは部屋で少し考え事をした後、
『今、兵団の役に立てることを、私もしよう。』
そう心の中で呟き、食堂へ向かう。
すると廊下で、
俯き気味に歩くエレンとすれ違う。
「エレン?」
「……エマさん?!
こんな日に、普通に廊下歩いてても大丈夫?」
エマの呼びかけに顔を上げるエレンは、
少し驚いた表情でエマを見た。
「今のところは。
エレンも忙しいんじゃないの?」
「……俺は、そうでもないよ。」
「意外だね。
エレン、恰好いいし優しいのに。」
エマがそう言って目を丸くすると、
「エマさんって、やっぱり変な人だね。」
エレンは困ったように頭を掻く。
「あれ、それジャンにも言われたような……
私の主な印象って、変な人なのかなぁ。」
エマは笑うとエレンを小突く。
「いや、俺は、エマさんがこうやって
普通に接してくれて嬉しいんだ。」
「どういうこと?」
エレンは少し笑うと話し始めた。
「俺って、巨人になれるだろ?
だから、やっぱり警戒されてるんだろうね。
普通の兵員はあまり俺に話しかけないし
勿論、さっきのエマさんみたいに
冗談で小突いたり、触ったりもしない。」
エマはエレンの話を静かに聞く。
「そりゃ、普通に接してくれるやつもいるよ。
同期は前と変わらず接してくれるし
アルミンもミカサも、気にすることじゃない
って言ってくれるけど。
……でも、エマさんは料理人だし、
俺なんか視界に入れないように
することだってできるのに。
なのにこうやって話しかけてくれるから。」
エレンはエマに笑顔を見せる。
「………ありがとう。」