第23章 壁外調査、三日前は
「エマ。
もう少し君と話していたいのだが、
私は次の約束があるんだ。」
エルヴィンは懐中時計を手に取ると、
ため息を吐いた。
「……また告白受け入れるんですか?」
「受け入れる、というのには語弊がある。
受け取る、に近いだろう。」
エルヴィンはそう言って首筋を摩ると、
「とりあえず、エマは早く
ハンジの部屋へ行った方がいい。
理由はハンジから聞きなさい。」
そう言って歩き出した。
「エルヴィンさん、頑張ってください!」
エマは思わず
エルヴィンの後ろ姿にそう言うと、
「大丈夫。次は女の子だ。」
エルヴィンは悪戯っぽく笑って
基地に帰って行った。
エマは足早にハンジの部屋へ向かう。
廊下を歩くと、兵員の視線が痛い。
声を掛けられそうになる度、
空き部屋やトイレに逃げ込む。
『もしかして、エルヴィンさんが
言ってたことって………』
エマは色々と想像を巡らせながら
ハンジの部屋をノックした。
「エマだよね?入っておいで!」
ハンジのその声を受け、
エマは急いで部屋に入った。
「エマ、ここまで無事に来られた?」
ハンジは楽しそうに笑う。
「なんとかっ……」
エマは息を切らしながら言った。
「まぁ、エマのことだから、
誰かに声掛けられておねだりされたら、
きっと断れないもんね。」
ハンジはエマの肩に手を置く。
「早くハンジさんの部屋に行けって、
エルヴィンさんに言われたんですけど、
そういうことだったんですね……」
そう言ってため息を吐くエマにハンジは、
「調査の3日前は、
調査兵団の告白の日だから。」
と、楽しそうに笑った。