第23章 壁外調査、三日前は

「え、エルヴィンさん……
あの、すみません。」

思わず謝るエマに、エルヴィンは

「いや、そんなに怯えなくてもいい。」

そう言って、エマの腕を掴み、
立ち上がる手助けをした。



「調査兵団の伝統行事みたいなものだよ。」

エルヴィンは優しくエマの頭を撫で、

「あんなところを見せてしまって、
こっちこそすまなかった。驚いただろう？」

と、小さく笑う。


「い、いえ。さっきジャンから、
調査に出る前に告白してくる子は多いって話、
聞いてたんですけど……
今のは正直かなり驚きました。」

エマが吃りながら素直にそう言うと、

「まぁ実際、男からの方が多いよ。
ここは男ばかりだからね。」

エルヴィンは即答した。






「……ジャンがさっき、
女の子に告白されてるところ
目撃したんですけど……」

「そうか。ジャンもなかなかやるな。」

「告白されるの３人目って言ってて、」

「なるほど。残り２人はきっと男だな。」

エルヴィンの即答が続き、
エマは混乱する頭を掻く。




「……えーっと、
いや、エルヴィンさんは
アルミンで何人目なんですか……？」

エマがふと気になったことを尋ねると、
エルヴィンは空を仰ぎ、少しの沈黙が漂う。




「……知らないでいいこともある。」

エルヴィンはそう言うと、
エマの肩をたたいた。


「………そうかも知れません。」

エマは動揺を隠すように首を振る。