第22章 キスまでの長い道程
「……今思ったんですけど」
「急に何だ。」
「キスの前に、手を繋ぐんじゃないんですか?」
エマのその言葉に、リヴァイは言葉を失う。
「……それは誰情報だ。」
「ハンジさんですけど。」
「ハンジがお前に教えることは、
8割嘘だと思え。」
リヴァイの即答にエマは目を丸くした。
「それってほとんど信用したら
だめってことじゃないですか。」
「そうなるな。」
リヴァイは呆れた顔で、エマを見る。
「お前、本当に何も知らねぇんだな。」
「……ここに来るまでは特に、
そういう恋愛沙汰なんかには
全く興味がなかったんですよ。」
エマはリヴァイから目を逸らす。
「俺もそんなものに興味はなかったが。」
「だから、興味ないのにこういうことしたら」
「分かってる。もう話を戻すな。」
リヴァイは頬を緩めながら、
エマの言葉を遮った。
「……とにかく、ここに来て初めて
興味が湧いてきた来たと言うか……」
「だからエルヴィンに抱きしめられても
簡単に受け入れた訳か。」
リヴァイのその一言に、エマは焦る。
「え、なんですか、その話。」
エマはまたリヴァイから目を逸らすが、
「俺が何も知らなかったと思ってんのか?」
その発言を受け、
申し訳なさそうな表情を浮かべて、
リヴァイを見た。
「……でも、それってほとんど
事故に近い状態でしたよ?」
エマがそう言うと
「……事故か。
それでも、もうエルヴィンや他の男と
そういう事はするんじゃねぇ。」
リヴァイはエマの髪を乱暴に撫でる。
「……はい。」
エマはそう答えると、
リヴァイの顔をそっと覗き込んだ。