第22章 キスまでの長い道程
その日は気持ちが落ち着いたこともあってか、
仕事が捗り、エマは早めに食堂を後にする。
自分の部屋に向かう廊下を歩いていると、
前からエレンが小走りで近付いてきた。
「エマさん、今日はもう終わり?」
エレンは心なしか楽しそうだ。
「うん。今日は仕事が捗ったから、
早く上がることにした。」
エマはエレンに笑いかける。
そんなエマに、
「へーぇ。なるほどねー。」
と、エレンはニヤニヤと笑う。
「……エレンくん、
何か言いたいことがあるのかなー?」
エマはそう言って
エレンの肩を軽く小突くと、
「兵長も、今日は早く終わるぞって。」
エレンは楽しそうに笑った。
「なんか今日の兵長は心なしか機嫌良かったし、
みんなで、絶対何かあったな……
って話してたんだよ。」
エレンのその言葉を聞いて、
エマの顔は少し紅潮する。
「今度こそ あの噂、本当になった?」
そう言って笑うエレンに、
「エレンがそう思うなら、そうなのかもね。」
と、エマはリヴァイの真似をして言った。