第19章 決断の時
「俺にはあんだけ言い上げたくせに、
自分はこれで終わり。
なんて、思ってないよな?」
ジャンは優しい口調で続ける。
「こんなとこで泣いてたって何も変わらねぇよ。
結局エマさん、まだ何もしてないジャン?」
そう言ったところで、
「あ。今の洒落じゃねぇから。」
と言って自分で突っ込みを入れる。
そんなジャンの言動に、
エマは思わず吹き出した。
「良かった。まだ笑えるな。」
ジャンはエマを離すと、
もう一度、袖でエマの涙を拭く。
「もう少し落ち着いたら、行って来いよ。
ゆっくりしてる時間はないぜ。」
ジャンはそう言うと立ち上がり、厨房から出た。
ジャンが食堂のドアを開ける寸前、
「ジャン、ありがとう!」
エマが鼻声で叫ぶ。
「貸1だからな。
調査から帰ったら返してもらうから!」
ジャンは一瞬立ち止まってそう言い
エマに笑いかけると、食堂を後にした。