第19章 決断の時
エルヴィンの部屋に着いて、第一声が
「自分の気持ちには気付いたのかな?」
と言う、エルヴィンからの一言だった。
エマは俯き気味に
「……はい。気付きました。」
そう言って、エルヴィンの方を見る。
「……すみません。
エルヴィンさんの気持ちに
応えられなくて……」
「いいんだよ。君の気持ちが、
きっとリヴァイにあるということは、
もう5年も前から気付いていたことだ。」
エルヴィンはそう言うと、
エマに笑顔を向けた。
「……5年も前から、ですか?」
エマは目を丸くして聞き返す。
「エマがリヴァイを見る目は、
誰を見るときよりも嬉しそうで、
輝いていたからね。」
とエルヴィンは言う。
「……それでもどうにかして、
君を振り向かせたかったんだ。
柄にもないことをしてしまって、
こっちこそすまなかったね。」
エルヴィンがそう言って謝ると
「……いえ、エルヴィンさんの気持ちは、
すごく嬉しかったです。
この気持ちに嘘はないです。」
エマはそう言って笑って見せた。
その笑顔を見てエルヴィンは、
「そうか。それを聞いて安心したよ。」
と、顔を綻ばせる。
そして、
「もし、リヴァイに
嫌気がさすようなことがあれば、
私のところに来てくれ。
その時は全力で私が君を幸せにしよう。」
そう言ってエマに笑いかけた。
「私には勿体なさすぎる言葉です。」
エマはエルヴィンの言葉に、少し涙ぐむ。