第18章 悲しい出来事と自分の想い
30分程で料理は出来上がり、
リヴァイとエマは
カウンター席で並んで食事をする。
そこである疑問が浮かんだリヴァイは、
エマに問いかけた。
「おい。
このスープは仕込みと煮込み時間が
大事なんじゃなかったのか。」
「よくそんなこと覚えてますね。」
エマは、初めてリヴァイと
会った時のことを思い出した。
「あの時は咄嗟にそう言いましたけど、
実際、本当に特別なことは
何もしてなかったんですよ。」
そう言って、バツが悪そうに
目を逸らすエマに、
「なんだと?
しょうもない嘘を吐きやがって。」
と、リヴァイは呆れた顔をする。
「……どうしても、
またリヴァイさんに来てほしかったんです。」
エマは正直な気持ちを打ち明けた。
「ああでも言わないと、
もう来てくれない気がして。」
そう言って目を伏せたエマに、
「こんな美味いもん、
また食いに行くに決まってんだろ。」
と、リヴァイはスープを口に含んだ。
「初めて美味しいって言ってくれましたね。」
エマは目を輝かせる。
「なんだ。それくらい言ったことあるだろ。」
リヴァイがそう言うと、
「ないですよ!“悪くない……”しか、
言ってくれたことないです!」
エマはリヴァイの声真似をしてみせた。
「……悪くないも、美味いも
同じことだろうが。」
「違います!」
エマの即答に、
リヴァイは思わず息を漏らす。
「今のは絶対笑ってますよね?」
リヴァイの顔を覗き込むエマに、
「お前はどれだけ俺を笑わしたいんだ。」
と、リヴァイは呆れた声を出した。