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Fleeting promise【魔法使いの約束】

第3章 友達と呼ぶにはまだ遠い





「あ、あの、ありがとうございます。とりあえずロビーまで運んでもらって、ゆっくりお茶でもどうですか?」



私は場を和ませようとそう言い出したのだが。



「いえ!私どもは運び終えたら失礼させていただきますので!」



そう言ってロビーに籠を下ろすと、兵士たちはそそくさと城へ帰って行ってしまった。



(急いでいた、というよりかは……)



兵士たちの異常な慌てように私はヒースクリフに視線を向ける。彼はもう険しい顔をしていはいなかったが、私の視線に気づくと眉尻を下げた。



(魔法使いのことを怖がっていたように見えるのよね……)



昨日の今日で人柄が変わるわけでもない。中には魔法使いたちへの考え方が変わった人もいるようだけれど、どうやら彼らは違ったらしい。



「ヒースクリフ、大丈夫?」

「あ……ごめん、もしかして怖がらせちゃった?」

「ううん、私は平気だけど、兵士さんたちのことをずっと睨んでたから……」

「あはは……まだ信用しきれなくって」



ヒースクリフは頬を掻きながら籠の中の林檎を手に取った。



「それよりも見てよ。とても立派な林檎だよ」

「……そうだね、じゃあせっかくだから何か作ろうかな。お世話になる魔法使いの皆さんにってことで」

「俺も手伝うよ」

「ありがとう、ヒースクリフ。……よいしょっ……重い……」



私は比較的軽そうな籠を持ち上げようとして、けれど思った以上の重量に膝をついてしまった。それを見たヒースクリフが苦笑しながら代わりに抱えてくれる。



「うぅ……もっと力をつけた方がいいのかな……」

「そんなに落ち込む必要はないよ。女性が持つには大分重さがあるし」

「でも……」

「こういうのは俺たちに任せて。茜は茜にしか出来ないことをすればいいと思うよ」

「私にしか出来ないこと……?」


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